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フリーランスエンジニアが入れる健康保険組合はある?国民健康保険が高いときの選択肢

フリーランスエンジニアとして独立すると、意外と重く感じるのが国民健康保険料です。

会社員時代は給与から天引きされていたため、あまり意識していなかった人も多いと思います。
しかし、個人事業主になると自分で国民健康保険に加入し、前年所得に応じた保険料を支払うことになります。

特にWebアプリ開発や業務システム開発などで一定以上の収入があるフリーランスエンジニアの場合、

「国民健康保険が高すぎる」
「フリーランスでも入れる健康保険組合はないの?」
「文美国保ってエンジニアでも入れるの?」

と感じることがあるはずです。

この記事では、日本でフリーランスエンジニアが検討できる健康保険の選択肢について整理します。

結論:Webアプリ開発専業だと入れる国保組合はかなり限られる

先に結論からいうと、Webアプリ開発・バックエンド開発・業務システム開発をメインにしているフリーランスエンジニアが、そのまま加入しやすい健康保険組合は多くありません。

フリーランス界隈でよく名前が出る「文芸美術国民健康保険組合」、いわゆる文美国保も、対象は文芸・美術・著作活動に従事する個人事業主です。

そのため、サーバーサイド開発、API開発、インフラ構築、業務システム開発などを主な仕事にしている場合、単に「フリーランスエンジニアだから」という理由で加入できるものではありません。

一方で、以下のような仕事も実態として行っている場合は、検討できる可能性があります。

  • Webデザイン
  • UI/UXデザイン
  • LP制作
  • グラフィック制作
  • イラスト制作
  • 動画制作
  • クリエイティブ系のWeb制作

つまり、ポイントはエンジニアかどうかではなく、実際の業務内容が組合の加入対象に合っているかです。

そもそも国民健康保険が高く感じる理由

フリーランスになると、会社員時代と比べて健康保険料が高く感じやすくなります。

理由は大きく3つあります。

1つ目は、会社員時代は健康保険料の一部を会社が負担してくれていたことです。
個人事業主になると、そのような会社負担はありません。

2つ目は、国民健康保険料が前年所得をもとに計算されることです。
収入が上がるほど、翌年の国民健康保険料も高くなりやすいです。

3つ目は、国民健康保険には扶養という考え方がないことです。
会社員の健康保険では条件を満たせば家族を扶養に入れられますが、国民健康保険では世帯の加入者ごとに保険料がかかります。

そのため、独身で所得が高い人だけでなく、家族がいるフリーランスも負担が大きくなりやすいです。

選択肢1:文芸美術国民健康保険組合

フリーランスの健康保険として有名なのが、文芸美術国民健康保険組合です。

いわゆる「文美国保」と呼ばれるもので、デザイナー、イラストレーター、作家、漫画家、カメラマンなど、文芸・美術・著作活動を行う個人事業主が対象になります。

文美国保に加入するには、主に以下のような条件があります。

  • 文芸・美術・著作活動に従事していること
  • 個人事業主であること
  • 文美国保の加盟団体の会員であること
  • 確定申告書の控えを提出できること
  • 作品例を提出できること
  • 加盟団体証明書を提出できること

文美国保の公式サイトでも、加入時の提出書類として、確定申告書控え、作品例、住民票、加盟団体証明書などが案内されています。

文美国保はエンジニアでも入れる?

ここが一番気になるところだと思います。

結論として、Webアプリ開発やバックエンド開発だけを行っているエンジニアの場合、文美国保への加入はかなり難しいと考えた方がよいです。

なぜなら、文美国保はITエンジニア向けの健康保険組合ではなく、文芸・美術・著作活動を行う人向けの国民健康保険組合だからです。

ただし、Web制作の中でも、以下のようなクリエイティブ業務を実態として行っている場合は、検討余地があります。

  • Webデザイン
  • UIデザイン
  • グラフィックデザイン
  • イラスト制作
  • 写真・映像制作
  • クリエイティブ寄りのWeb制作

たとえば、単にReactやSpring Bootでアプリを実装しているだけではなく、デザイン制作やビジュアル制作も含めて請け負っている場合です。

一方で、以下のような仕事が中心の場合は、文美国保の対象として説明するのは難しいでしょう。

  • Java / Spring Bootのバックエンド開発
  • API開発
  • 業務システム開発
  • インフラ構築
  • クラウド設計
  • 保守運用
  • コーディングのみの受託開発

無理に職業名だけを寄せるのではなく、契約内容・請求書・制作物・確定申告の内容と業務実態が一致しているかが重要です。

文美国保の保険料

文美国保の大きな特徴は、所得に関係なく保険料が決まることです。

令和8年度の保険料は、組合員本人が月額26,000円、家族は1人あたり月額15,700円です。さらに40歳から64歳の人は介護保険料として1人あたり月額6,100円がかかります。また、組合員および18歳以上の家族には、子ども・子育て支援金分として1人あたり月額600円が設定されています。

所得が高い人にとっては、市区町村の国民健康保険より安くなる可能性があります。

一方で、所得が低い年や家族構成によっては、必ずしも安くなるとは限りません。
加入を検討する場合は、現在の国民健康保険料と必ず比較しましょう。

選択肢2:関西なら京都芸術家国保・大阪文化芸能国保も候補

関西在住で、かつクリエイティブ系の仕事をしている場合は、地域の国民健康保険組合も候補になります。

たとえば、京都芸術家国民健康保険組合は、芸能、美術、工芸、伝統工芸、その他芸術関係の業務に専ら従事する個人事業主を対象にしています。住民票の住所が加入区域内であり、世帯全員が健康保険加入中であることも条件とされています。

また、大阪文化芸能国民健康保険組合は、俳優、音楽、舞踊、美術、工芸、デザイン、写真、映像、作家、文筆など、芸能・芸術・文化に関わる人向けの国民健康保険組合です。

大阪文化芸能国保では、新規加入の条件として、加入団体に加盟している個人、または個人で加入できる仕事に従事していること、認可地域内に住所があること、現在いずれかの健康保険に加入中であることなどが案内されています。

ここでも重要なのは、エンジニアという肩書きではなく、実際の業務内容です。

Webアプリ開発専業の場合は難しい可能性がありますが、Webデザイン、映像、写真、グラフィック、クリエイティブ制作も事業として行っている場合は、確認する価値があります。

選択肢3:退職直後なら任意継続を確認する

会社員からフリーランスになった直後であれば、まず確認したいのが健康保険の任意継続です。

任意継続とは、退職後も一定期間、会社員時代に加入していた健康保険を継続できる制度です。

協会けんぽの場合、任意継続の主な条件は以下です。

  • 退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること
  • 退職日の翌日から20日以内に手続きすること

協会けんぽの公式サイトでも、任意継続の加入条件としてこの2つが案内されています。

任意継続の保険料は、基本的に退職前に給与から控除されていた健康保険料の2倍になります。
ただし、保険料には上限があるため、所得によっては国民健康保険より安くなる場合があります。

注意点は、手続き期限がかなり短いことです。

退職日の翌日から20日以内に手続きが必要なので、独立直後の人は早めに比較しましょう。

選択肢4:法人化して社会保険に入る

フリーランスとして収入が安定してきた場合、法人化して社会保険に加入するという選択肢もあります。

個人事業主のままだと、基本的には市区町村の国民健康保険に加入します。
しかし、法人を設立して役員報酬を受け取る形にすると、法人として健康保険・厚生年金に加入することになります。

日本年金機構の公式サイトでも、株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合を含めて厚生年金保険の適用事業所になると案内されています。

ただし、法人化は単純に「健康保険料を下げるための裏技」ではありません。

法人化すると、以下のような要素も考える必要があります。

  • 役員報酬の設定
  • 厚生年金保険料
  • 法人住民税
  • 税理士費用
  • 社会保険手続き
  • 会計処理
  • 法人としての事務負担

そのため、年収や所得がある程度高く、今後もフリーランスとして安定的に事業を続ける見込みがある場合に検討するのがよいでしょう。

目安として、売上や所得が大きくなってきたら、税理士や社労士に一度シミュレーションしてもらうのがおすすめです。

ITS健保にフリーランスエンジニアは入れる?

IT業界で有名な健康保険組合に、関東ITソフトウェア健康保険組合があります。
いわゆる「ITS健保」です。

IT企業に勤めている人にとっては、保養施設や付加給付などが充実していることで知られています。

しかし、フリーランスエンジニアが個人でITS健保に入るのは基本的に難しいです。

ITS健保の加入基準では、主要業務がIT系であることに加えて、現在協会けんぽに加入していること、被保険者数が20名以上であることなどが案内されています。

つまり、ITS健保は基本的に企業・事業所単位で加入する健康保険組合です。

個人のフリーランスが「ITエンジニアだから」という理由で単独加入できるものではありません。

フリーランスエンジニアの健康保険の選び方

ここまでを整理すると、フリーランスエンジニアが検討できる選択肢は以下のようになります。

選択肢向いている人注意点
市区町村の国民健康保険多くの個人事業主所得が高いと保険料が重くなりやすい
文芸美術国保デザイナー、イラストレーター、クリエイター寄りの人Webアプリ開発専業では難しい可能性が高い
京都芸術家国保・大阪文化芸能国保関西在住で芸術・文化・デザイン系の仕事をしている人加入区域や職業要件の確認が必要
任意継続会社員から独立した直後の人退職日の翌日から20日以内の手続きが必要
法人化して社会保険所得が高く、事業が安定している人税金・厚生年金・事務負担も含めた判断が必要
ITS健保IT企業・事業所個人フリーランスの単独加入は基本的に難しい

おすすめの確認順

フリーランスエンジニアが国民健康保険料を高いと感じた場合、次の順番で確認するのがおすすめです。

1. まず現在の国民健康保険料を確認する

最初に、現在の市区町村の国民健康保険料を正確に確認します。
自治体によって計算方法や上限額が異なるため、ざっくりした感覚ではなく、実際の年間保険料で比較することが大切です。

2. 退職直後なら任意継続を比較する

会社員から独立したばかりなら、任意継続を最優先で確認しましょう。
20日以内という期限があるため、後回しにすると選択肢を失います。

3. クリエイティブ業務があるなら国保組合を確認する

Webデザイン、UIデザイン、映像、写真、イラストなどの業務実態がある場合は、文美国保や地域の芸術系国保組合を確認します。

ただし、実態がないのに職業だけを寄せるのは避けるべきです。
契約書、請求書、確定申告書、作品例と整合性があるかが重要です。

4. 所得が高く安定しているなら法人化を検討する

Webアプリ開発のフリーランスとして安定した収入があり、今後も継続する見込みがあるなら、法人化も選択肢になります。

ただし、法人化は健康保険だけで判断するものではありません。
税金、社会保険料、厚生年金、会計コスト、事務負担まで含めて判断しましょう。

まとめ

フリーランスエンジニアが入れる健康保険組合はありますが、Webアプリ開発専業のエンジニアがそのまま加入しやすい組合は多くありません。

文美国保や芸術家国保、文化芸能国保は、あくまで文芸・美術・著作・芸術・文化系の仕事をしている人向けです。

そのため、バックエンド開発、API開発、業務システム開発が中心のフリーランスエンジニアの場合は、以下の選択肢を現実的に比較するのがよいでしょう。

  • 市区町村の国民健康保険
  • 退職直後なら任意継続
  • クリエイティブ業務があるなら文美国保や芸術系国保
  • 所得が高く安定しているなら法人化して社会保険

国民健康保険料は、フリーランスにとってかなり大きな固定費です。

「なんとなく高い」と感じるだけで終わらせず、現在の保険料、加入できる可能性のある組合、任意継続、法人化を比較して、自分に合う形を選ぶことが大切です。

特にフリーランスエンジニアの場合、収入が増えるほど国民健康保険料の負担も重くなりやすいため、早めに見直しておくと安心です。

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